小林 伊勢谷くんとは、これまでも微妙に一緒になっていたんだけれど、ゆっくり話すのは意外に今日が初めてなんだよね。伊勢谷くんがやっている「
リバースプロジェクト」とは、何か一緒にできるんじゃないかなと思っているんだけれど、そもそもどんなきっかけで始めたものなの?
伊勢谷 大学時代、僕はずっと映画が作りたかったんです。
でも大学を卒業した時点で、考えが変わって。漠然としているんですが、「村」というものを作れないかと思うようになって。「村」は人が住むためのものなので、衣食住を構成する、水やエネルギーという要素が、すべて循環できる形を作る事ができれば、ある一つのモデルケースになるんじゃないか、と。
僕の考える村という形が、最終的に人が最小単位で過ごすためのケーススタディとなってくれればという気持ちが、理想としてどこかにあります。理想の村を作ることを目標にして、「村という形態に至るまでの流れ、小さな社会のモデルケースを一緒に構築しなおしてみようよ」と考えたんです。
その手前の段階で、展開する場所ごとに、いろいろ特色が生まれてくるものだと思ってるんですけど。
といっても、「絶対こうじゃなくちゃいけない」という決まりきった形じゃなくて、「環境」という、新しいモラルが出てきたことを、社会の中でちゃんと実行して見せていくための形が、村というふうになるといいな、と思った。そのことがきっかけですね。
小林 僕もエコビレッジのような発想を持ったし、パーマカルチャーに携わっている人は周りにけっこういるから、わからなくはないよ。
もうちょっと質問したいんだけれど、「村を作る」というのは、現代社会から脱出した場所として作っていくということなのか。もし脱出していこうとするならば、どんなふうにやったらいいのか? ということは聞きたいね。もちろん、そういうケースがあってもいいと思ったうえで。