小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

今月またやります

2010.11.19 23:03

カーストおよびインドのことについては、
本当にまた近いうちに触れます。

その前にいうのを忘れていましたが、
この前の11月3日振り替えではありましたが
「第1回 耕す×BBQ in 耕す木更津農場」(タイトル長い!?)
大成功につき、年内に2回目の「耕す〜」をやることになりました。

だんだん寒くなってきている時節柄ではありますが、
冬野菜に向けての労働は本当に気持ちがいいらしく、
と言いつつ、実際のところは解りませんが、多分気持ちいいですよ。
その後のBBQは、さぞ美味しいに違いない__というようなイベントで、
今のところ参加費無料でお届けさせてもらっています。

とにかく自然の中に触れてもらって
僕らがいま取り組んでいる大規模のようではあるけれど、
きめの細かい有機農業の成長と言いますか、発展と言いますか、
硬く言うと振興のような、つまり今後も一緒に耕して行ってほしいな、と
切に思うわけです。

いろんな可能性はあるにせよ、
今世紀は行き過ぎた工業化、人工化を減らし、
バランスのとれた自然との付き合い方を増やしていくということが
求められているのは間違いないと思います。
そんなわけでよろしくお願いします。


スタッフから前回の「耕す〜」写真をもらったので、一部載せておきます

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ムンバイの続き

2010.11.17 23:48

この前はカーストの話の前で終わりましたが、
ムンバイの町を行き来していて、思うことがありました。

正直言って、インドの田舎の方でもスラム街でも、
ここまで明らかな貧しさ且つ混沌を見たのは
少なくとも僕が今まで見てきた国々
(ベトナム、タイ、中国少数民族、
ブータン、ラダック、カンボジアなどなど)、
いろいろ行ったなかで最もディープなものでした。

ディープっていう意味、解ってもらえるかな?
つまり、臭いも密度も壊れ方も秩序のなさも、
まぁつまり全体的にぐちゃーという感じなんです。

だけれども、それはどこの国に行っても同じ思いだったのですが、
これだけのぐちゃーっと感でも、人々は活き活きとしているのです。
少なくともそう見えるのです。

平日でも学校に行っていない子供はわんさかいるし、
(なんでもスラムのなかでも数十%の人が出生届を出していないとのこと)
ただただ通りでぼーっとしている人も、
日中には軽く35度ぐらいになってしまう町なんですが、
その通りでただ座っているおじさんおばさん、もしくは寝ている人、
噛まれたらマジで危険だと思われる、目がどろんとしている犬たち。
そして、彼らにとって神聖とされる牛たち。
田舎の方では、ヤギ、羊、ついでに象まで車と共存していますが、
とにかくそんな全てが入り混ざっているのです。

おまけに事故だか病気だかで、自分の体が不自由なことや、
食べる物が欲しいという仕草を、
車のドアをこつこつ叩きながら、それをアピールしてきたりもします。

ここまで書くと、何が活き活きとしているのか、と思ってしまいそうですが、
でもおそらく、あまり悲観的になってなんかいない、
というのが解るんだよね。ちっとも欝的でない。
実際自殺率は、全然低いらしいし。
まぁ出生届を出していない率が高いので、大枠がそもそも不確かなのですが。

でね、ここからなんですけれども、
長くなったので、また今度。



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ムンバイ

2010.11.16 20:59

唐突に告白しますが、
わたくし、先日5日間ではありますが、インドに行って参りました。

本当は遅すぎるぐらいなのですが、
POCこと、プレオーガニックコットンの現場へ
視察のために行ってきたわけです。

たった5日間とはいえ、
なかなか密度の濃い日々が続きまして、
気がついたら若干首のまわりや腕などが
虫に刺されたりしていましたが、
大きく体調を崩すこともなく、順調な旅でした。

今回の旅の見所は2つあって、
ひとつはもちろんPOCの生産者、
つまりコットンファームを回ることと、
その加工工場を視察すること。
もうひとつは、経由地ではありますが
初めて行くことになる、ムンバイの町の探索です。

2つ目に挙げたムンバイのことから触れようかな。

ムンバイは元々"ボンベイ"という南の方の町なのですが、
商業、文化の面で、いまはデリーよりも栄えているとも言える町。
1年前、アカデミー賞を取った映画、
『スラムドッグ$ミリオネア』の舞台にもなったところです。
僕はこの映画が大好き、且つ、監督のダニー・ボイルも大好きなので、
(詳しい人には言うまでもありませんが、彼は
『トレインスポッティング』という映画を監督した人でもあります)
DVDでメイキング映像も2回ほど見ていて、
ムンバイのスラムの在り方にも、かなり興味を持っていました。

映画の冒頭に近いシーンで、
飛行場にほど近いスラムが描かれているのですが、
これが本当、実物はほんっっとうに触れ合う程、
飛行機とスラムが近くに存在していましたよ。

実は飛行場近くだけでなく、まるで二人羽織のように、
繁栄とスラム、富と貧困が同居しているわけです。
例えば、かなり新しい高層ビル群をバックに、ごちゃごちゃとしたスラム、
小高い丘の上に、海を見下ろす照射な家が立ち並ぶ高級住宅街の麓に
山盛りのスラム、などなど。

まぁ実際はスラムと言わなくとも、様々なカーストが
いろんな次元で折り重なるようにその町で存在していました。
多分ドライバーが観光名所のように案内してくれたところは、
渋滞でごった返している橋の上で、
「(車から)降りて下を見てみろ」と言われて見てみると、
その下には、500坪ぐらいはあるのではないかと思われる
洗濯をするカーストが暮らす人の村?群れ?が、
長屋のように連なっていました。

さて、ここでついつい出てきましたが、"カースト"です。
ヒンドゥー教の階級社会の根幹を指すカースト制度。
このあたりも含めて続きはまた。


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小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。