小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

ムンバイ

2010.11.16 20:59

唐突に告白しますが、
わたくし、先日5日間ではありますが、インドに行って参りました。

本当は遅すぎるぐらいなのですが、
POCこと、プレオーガニックコットンの現場へ
視察のために行ってきたわけです。

たった5日間とはいえ、
なかなか密度の濃い日々が続きまして、
気がついたら若干首のまわりや腕などが
虫に刺されたりしていましたが、
大きく体調を崩すこともなく、順調な旅でした。

今回の旅の見所は2つあって、
ひとつはもちろんPOCの生産者、
つまりコットンファームを回ることと、
その加工工場を視察すること。
もうひとつは、経由地ではありますが
初めて行くことになる、ムンバイの町の探索です。

2つ目に挙げたムンバイのことから触れようかな。

ムンバイは元々"ボンベイ"という南の方の町なのですが、
商業、文化の面で、いまはデリーよりも栄えているとも言える町。
1年前、アカデミー賞を取った映画、
『スラムドッグ$ミリオネア』の舞台にもなったところです。
僕はこの映画が大好き、且つ、監督のダニー・ボイルも大好きなので、
(詳しい人には言うまでもありませんが、彼は
『トレインスポッティング』という映画を監督した人でもあります)
DVDでメイキング映像も2回ほど見ていて、
ムンバイのスラムの在り方にも、かなり興味を持っていました。

映画の冒頭に近いシーンで、
飛行場にほど近いスラムが描かれているのですが、
これが本当、実物はほんっっとうに触れ合う程、
飛行機とスラムが近くに存在していましたよ。

実は飛行場近くだけでなく、まるで二人羽織のように、
繁栄とスラム、富と貧困が同居しているわけです。
例えば、かなり新しい高層ビル群をバックに、ごちゃごちゃとしたスラム、
小高い丘の上に、海を見下ろす照射な家が立ち並ぶ高級住宅街の麓に
山盛りのスラム、などなど。

まぁ実際はスラムと言わなくとも、様々なカーストが
いろんな次元で折り重なるようにその町で存在していました。
多分ドライバーが観光名所のように案内してくれたところは、
渋滞でごった返している橋の上で、
「(車から)降りて下を見てみろ」と言われて見てみると、
その下には、500坪ぐらいはあるのではないかと思われる
洗濯をするカーストが暮らす人の村?群れ?が、
長屋のように連なっていました。

さて、ここでついつい出てきましたが、"カースト"です。
ヒンドゥー教の階級社会の根幹を指すカースト制度。
このあたりも含めて続きはまた。


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小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。