小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

豊田スタジアム

2011.09.10 21:20

いま豊田スタジアムのライブが終わりまして、宿舎へ向かっております。

もう9月も中盤になろうというのに、名古屋はホットでした。
気温も今日は高めだったけどね。33度だったそうですね。
大きさも3万人以上入っているわけだから、すごい人なんだけれど
前回の日産スタジアム6万5,000人に比べると
それなりに小さく感じて、だけど、その分ホットなんだよね。
音も両サイドが壁になっているから、あんまり外に逃げていかないので
中でのグルーブ感が、より高まっていたような気がします。
とにかく毎回ライブは違うものなので、
明日もまた今日とは違うライブができますよ。

ちなみに、大阪から名古屋へ入って
ライブをしたことがあまりないけれど、本当に近いんですね。

実は昨日関西空港の近くで、小出さんとお酒を飲んでいました。
どれぐらいの人が小出さんを知っているかはともかくとして、
緊急対談などでも登場してもらっている小出裕章さんです。
小出さんと飲むのは2度目なんだけど、町のお蕎麦屋さんで
18時から飲んでいて4時間弱ぐらい一緒にいましたかね。

小出さんは、原子力や放射能の怖さを
ある時は人に笑われながらも、40年間問いかけ続けてきた人なんだけれど
本当にピュアで素敵で、少し偏屈です。いや、相当に魅力的な人なんですよ。
お蕎麦屋さんで見送ってもらって、僕はタクシーで市内に向かったんだけど
途中タクシーの運転手さんが、小出さんの出ている
毎日放送ラジオのことを話し出して、
どれだけ小出さんが、3.11以降真摯な態度で
いまの危機を話してくれているかということを、褒めちぎっていました。
僕が「さっき見送ってくれたのが小出さんですよ」と言うと、
相当驚きつつ、喜んでくれていました。
3.11以降、大きく物事が変わったり、また戻ったり、
いろいろしているけれど、小出さんのような普通の人達
(この場合の普通ってどういうことかと言うと、言葉を選ぶけれど、
あんまり利権などに走るようなことがない人、
特権などに縁のない人、という感じかな)に向かっている、
やさしい心というのがクローズアップされてきたのは、
本当にいいことだと思っています。

僕は昨日の小出さんの、そしてタクシーの運転手さんの思いと共に
今日のライブをやれたような気がします。本当にそう思います。



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小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。