小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

例えてみましょう

2011.08.11 00:59

ap bankは、いま千葉の木更津に「耕す」という
大きな農場をやっていますが、これを例にとります。

ap bankやkurkkuやOORONG-SHAの人達を、
OORONG-GROUPと呼んだ場合、
グループの人達が、全体的に10年間で食費に掛ける
すべてのお金の話をしてみます。

ここの人達は、普段はコンビニ
(コンビニを悪く言うつもりはなく、例えです)などで
安い弁当や、時々は賞味期限ギリギリのような訳ありで
破格の値段で食を賄ったりしています。

だけど、これから世界的人口増加などで
食料難になるかもしれないので、
食の自給をもっと進めようとして、
「耕す」の生産をもっと上げようとします。

最初のうちは、「耕す」の生産のための経費は、
例えば、土地をもっと調査することとか、
人の作業が最初のうちは、まだレベルがそんなに高くないとかで、
費用対効果がそんなに高くないわけです。

しかも、畑などがどんどん増えていけば、
経費に対して効率が上がっていく。
つまり、太陽光や風車が増えて、コストが下がることと同じです。

だけど、10年間で次第に「耕す」での、自給の比率が増えていきます。
そうすると、格安弁当などで賄ってきていた安い食の経費が、
少しずつ減って「耕す」の経費になっていく。
それは例えば試算したら耕す自体は安くなるものの
安い弁当に比べると10年経ってもまだちょっとは高いから
全体の食の経費は、例えば10年間で1か月xxx円上がるとか、
そういうことになるわけです。
これは孫さんが言っていた10年間で200円上がるだけだ、
という話と同じです。

もうお解りだと思いますが、軸が違うと。
違う軸の話が二つ存在しているという話です。

エネルギーの話に戻って、では、短中期の話として、
我々は何を選ぶべきなのか、の考え方です。
僕らがいずれにしても
自然エネルギーを増やしていきたいと思うならば、
バランスはいろいろあるでしょうが、
増えていくだけの道筋を最初に作らなければ、
やっぱり意味がないですよね。

つまり、再生エネルギーを増やしていきたいというならば、
増える道筋を立てなくてはいけない。
増やしたいのに入れないようにするというのは
やはりおかしいし、それは、またいずれ原発に戻りたい
というような思惑があるのではないだろうか、という話になりますよね。

しかし、そうなると、もうこの国の経済の行方や、
もしくは国の借金というものの意味も含めて、
一応未来の在り方を考えないと、という気にもなります。
だけど、再生エネルギーに対する技術革新や投資というのが、
もっと増えて進んでいくことが、
最もこの国を活性化していくことに繋がるというのもあるわけですから、
やはり、やや高めのところから全量買取り制度を
始めていけばいいのではないですかね。
つまり、最初はそんなにエネルギー全体から見ると
比率が大きくないわけだから、
そんなに大きく電力料金に跳ね返ることも少ないわけですよ。
この辺も、もう少し調べてみたいと思います。
MEECあたりで。

解ったこと

2011.08.10 02:27

昨日のブログで、あることが解ったと言いましたが、
それは、短期と中期の数字の捉えかたの問題だったのです。
結構関心ある人も意外と解っていないポイントだと思うのですよ。
この間、ニュース番組に孫さんが登場して、
いろいろ話していた中に、ふたつの論点があったわけです。

ひとつは、10年間でおおよそ3,500万キロワット
自然エネルギーが普及していっても、
一ヶ月一世帯あたり200円の値上げにしかならない、ということ。

もうひとつは、全量買取り制度で、
例えば、太陽光は40円ぐらいの価格から
スタートさせるべきではないか、と言っている孫さんの考え方。
これに関しては、普及していけば
どんどん単価が安くなっていくという話が、いつも添えられています。

ね、ちょっと悩むでしょ。

自然エネルギーの普及が進むと、
少しずつ電力料金が上がっていって、10年後に200円アップ。
だけど、太陽光はたくさん使えば使うほど安くなる。
太陽光に限らず、風力発電なども
増えれば増えるほど安くなると言われています。

どういう関連が段々上がるのと段々下がることにあるのか、
とぼんやり思っていたら、「あ、そうか」と解ったのです。

皆さんはどう思いますか?お解りでしょうか?
答えはこの後、、、という懐かしの古畑風ですが、
答えを言う前に解りやすく例えてみようと思います。




少しの静観

2011.08.08 15:35

おおよそこの国の民意は、脱原発、もしくは縮原発という思いから
そんなにブレていないのではないか、というところまできたのは、
ものすごく嬉しいことです。
ぬか喜びして良いわけじゃないけどね。

理由のひとつは、放射能がどれくらい危険で、
どれくらい安全か(安全ということはないんだろうけど)が、
おそらく1,000年単位でも解るか解らないかだと思うので、
特に命を受け継いでいくことに
直結した役割を持っている女性の視点が、
それ(放射能の得体の知れない感じ)を
受け入れられないだろう、ということ。

もうひとつは、この国の張りぼて感覚という体質。
それの最たる問題、酷い例が、
この原子力政策関連に集まっていること。
電力会社も、経産省内保安院も、一部の政治家や関連会社も、
どんどんボロが出てきて、
自滅していくというパターンが始まってるというか、
こちらが真っ当に見ていたら、
崩れていくことがほぼ決まっているな、という感じです。
東電の賠償額も、天文学的な数字になるらしく、
噂で、一説には100兆円という話も出ていると聞きました。

僕の方は、ミスチルのツアーの準備を含めて
音楽や仕事のことは、殆ど順調に進んでいて、
我ながらよく働いているな、という感じですが、
エネルギーシフトに関しての動きは、
いまはなんとなく様子を見ているという感じですかね。
MEECという、みんなの自然エネルギー環境会議の
第一回目である長野での会議も、
諸事情で行くことができなかったこともあり、
僕らの周りの動きでも、少し静観なんですかね。

詳しい人は知っていると思うけれども、
自然エネルギー全量買取り制度など、再生エネルギー法案が
いよいよ詰めの段階へ入っているということも聞きますが、
なにしろ短中期のバランスが大事なはずなんだけど、
そこの話し合いができていないよね。

で、最近もうひとつ解らない感覚があったわけですよ、
いろいろなデータを見るにつけて。
それが、突然あることが解りました。

今度ここで書きますね。




NEXT

小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。