小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

長いスタンスで

2011.06.18 23:56

昨日は若干お酒が入った上でのブログでした。
いや、本当を言うと、かなり飲んだ上でのブログでした。

祝島に行った時の緊急鼎談がアップされています。
写真を見るだけでも、すごく懐かしいです。
この前行ったばかりなのにね。

政治とか、経済の成長とか関係なく、
生き物として、自然と呼応しながら生きていく重要さを、
祝島の人達は本当に知っていると思います。
また行きたいな。

ジブリの宮崎さんも、自分のところの看板に、
原発じゃない電気を使って映画を創りたい、というような
メッセージを掲げているらしいですね。
本当に素晴らしい。

ちなみに僕たちのスタジオは、
バイオマスエネルギーなどのグリーン電力証書を使っているので
理屈上は、自然エネルギーでレコーディングをしているということになります。
いつか本当に、原発じゃない電気が送電線を流れたり、
自分たちで自給できるようになるといい。
最近いろいろと動きが早いけれど、きっと長丁場になるんだと思います。

今日、海江田経済産業大臣が、原発の安全確認がかなり進んできて、
また再稼働ができるところは、稼働した方がいい、
というような発言をしていました。

実際、今すぐ原発を止めるということがないだろうから、
推進派と脱原発という考え方が、微妙な駆け引きを続けたり、
折り合いをつけたりしていくんだろうね。
だからこそ、自然エネルギーが国の方針として増やしていくよ、
という意思表示が必要だということです。
それが全量買い取り制度だったり、
送電線への売電自由化だったりするわけです。

こう書いていると、また政治が、というところに戻ってきてしまいます。
目先のところでやれるところはやる努力をして、
だけど、長いスタンスで見ていくことが必要なんでしょう。
つまり、もしまた政権がすぐに変わって、政権政党が変わっても、
諦めないで、長いスタンスでやっていく、ということ。
とにかく声を出し、態度を表明していきます。
そして、みんなも表明していきましょう。



つまり、、、なんなんだ

2011.06.17 23:45

つまり、この間首相官邸に行って、僕が期待していたのは、
自然エネルギー推進のために、
思うようにいかない現在の政局など
それに対して我々がどうすればいいのか、というようなことが、
もっと見えてくるかもしれないということでした。

しかし、実際は違って、
もっと保守的なオーラに包まれていたんだよね。
つまり、それは、首相官邸というのは、
「国民のためにある」というような感じで、それが大前提というか。

それはある意味で孫さんの経済の新しい方向は
「国民がみんな幸せになるために」ということなんだよね。

これに対して、正直言うと僕が言いたいのは逆で、
本質的なことは国民一人一人の問題だということ。
僕から言わせれば、首相官邸もある意味孫さんも、
依存してしまう対象なんだよね。

もちろん依存が全くないとは思うけど、
例えばこういう例を挙げてみようか。
「こうやって生きればお前は失敗しない」
「こんな偏差値じゃお前はいいところへ行けない」
「あなたが頑張るために出世するために、お母さんは頑張っているのよ」
例えばこんなことを言う親や教師がいたとする。
で、僕は正直こういう親や教師は、
その人がいなくなればいいという訳じゃないけど、
こういう話が例えばなくなったとしたら、
人やつまり若い連中はなんとかやっていくしかない。
もしかしたら、うまくいかないかもしれない。
だけど生き物だから、適応してやっていくんだと思うんです。
無きゃ無いなりに何とかやっていく。

一方で、社会は同じような価値観をみんなに飲み込ませるために、
消費の欲望を均一化しようとしていると思う。
難しく言っちゃったけど、つまり「あたりまえ」というのがいっぱい生まれて、
それが変えられるのが嫌になっていく。
そうやって僕たちの世界に益々「あたりまえ」が築かれていってしまう。

上からふってくる「こうしなさい」と、身の回りに溢れる「あたりまえ」。

俺は、この感じが昔から嫌だったんだよ。

だからなんとかしようとしているんだと思う。
だけど、依存が必要な人もいるんだよね。
傲慢で言っている訳じゃないんだけど。

エネシフ・ナウ

2011.06.16 23:52

昨日「エネシフ・ジャパン」の二度目の誘いで、
衆議院議員会館に行ってきました。
孫正義さんの自然エネルギー推進のための
プレゼンテーションは素晴らしく、生で見てると、
こっちもどんどんアッパーになってくるような、テンションがありました。
菅首相も最後に登場して、予定を大幅に延長して30分近い演説を行い、
それもテレビで見る菅さんよりは、よっぽど明るく、楽しそうでした。

でもね、まぁよかったんだけど、やっぱり異質感というか、
疲れるんですよね、正直に言うと。
何に疲れるかと言えば、簡単に言えば
政治のムードに近づき過ぎというやつなんだろうね。
この間の首相官邸とは全然違って(この話もいずれしたいと思います)、
もっと「そーだ!」「いいぞ!」とか、「歴史に名を残せるぞ!」とか、
まぁ孫さんも含めてしゃべってる方も、
かなりのダイナミクスをつけた表現で、
つまり勢いがどんどんついていくんだけれど、
逃げ道がないというか、他の道が見えなくなるというか、
どんどん唸るような音だけが、大きくなっていくというか
(誤解のないように言っておきますが、
孫さんの話だけだったら、こんな感じに疲れないんだろうな。
本当にその辺りも上手いから)。

自然エネルギーを推進したいのは、
全くもって本当だし、その必要があると思うけど、
単純化された思考にだけは陥りたくない。
ただ単にシュプレヒコールを上げればいいとは、どうしても思えない。
その辺の思いを、緊急対談を始めてからここまできましたが、
ブログ連載で振り返ってみたりしつつ、
今後のやるべきことに繋げていきたいと思っています。
やることはいまかなり増えてきてますからね。
このブログで、ある意味自分内循環と一部ガス抜き(ベント)とができれば。
ある意味必要な冷却装置ですかね。



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小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。