小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

ツアー終了

2011.05.16 02:01

大阪京セラドームの二日目が終わりました。
途中震災があって、しかもどちらかと言えば
コンセプト要素の強い今回のツアーは
まさに想定外の展開のツアーだったと思います。

だけど、打ち上げでさっき桜井君とも話したけれど、
「最後ドームでよかったと思う」というような話をしていました。
それはまぁいろんな考え方もあるけれど、
このツアーが持っているポテンシャル以上の
オープンな感じがあったということだと思います。
(その時はそれはもちろんいいと思ってやっていたんだけどね)
もともとはどこか閉じているところから
始まっている感じがあったかのようにも思います。

いずれにしても、開いてやっていけるものはどんどん開いてやるし、
まだ騙されているところには力をかけて
なんとか次へ繋がっていける軌道を作って行きたい。

そういえば東北の方も、
さいたまのライブ以降行けていないので
また近々行ってきます。
余裕があるならボランティアも行ってほしいけれど、
でもまずは僕が泥かきしてこようかな。

それと福島。
福島の問題はこれからもまだまだ尾を引きそうです。
実際のところ僕らとしてはまだ何もできていません。
でもいろいろやっていくと思います。
実はいろんな人とちょっとずつは会っているの。
福島の現地の声は重いけど、やらなくてはなと思います。


大阪公演

2011.05.15 01:52

大阪振替公演の初日が終わりました。
京セラドームでのライブでした。
ちょうど昨日から二ヶ月前の震災のことを思い出す事柄がいくつかあって
実際大阪、和歌山を中止にしたことを思い出したりして
特に前半はこうやってライブをやれていることにやや感無量でした。

そのせいかライブはすごく充実した内容で本当に楽しかったです。
まぁ、桜井を含むフロントの動きのために走り込みを増やしてはいるものの、
今回のライブのセットはアリーナツアーのセットだから
ドームサイズとしては、ややシンプルなんです。
だけど、全く問題なくライブができていることは
どういうことかというと、いい状態だということではないでしょうか。
明日も頑張りますが、明日がこのツアーの最後になります。

ちなみに昨日から瀬戸内寂聴さんとの対談がアップされています。
うちのスタッフがなにげに「寂聴さんと対談は?」と言ったところから
いろいろオファーしたりして実現した対談ですが、
とにかく明るいキャラクターが、
いまや不動のタレント性というか魅力を感じさせる人でした。
ぜひ読んでみてください。

それにしても、福島原発一号機の
4,000〜5,000tの汚染水はどこへ消えてしまったのだろうか。
それよりも二号機、三号機がどういった状況なのか気になります。
あまり気にしても仕方がないよな、とも思うけど、
やっぱり気にした方がいい、気にせざるを得ない段階だとも思います。


福島原発一号機

2011.05.14 01:16

福島原発の一号機と言えば
比較的早く安全な段階に向かっていると思っていたけど
事実上のメルトダウンらしいです。
あれだけ震災当時は騒いでいたのに
ほぼメルトダウンが決定的になったと言うのに
どのメディアも表現がとても大人しい。
僕が言いたいのは、メディアがはっきり言わないということじゃなくて
この段階にきて、はっきり言いにくいシチュエーションが
いくつか重なっているんだなということです。
もちろん福島の人達への気遣いなどもあるんだろうけど、
日本人全体が耐える東北マインド化しているという感じがします。
まだまだひどくなる可能性が出てきても
なんとなくムードに流されるのかな。
いまは騒がないか、耐えつつ、やや諦めるというムード。
いずれにしても、はっきりさせようと思わなければ、
また第二のフクシマが起こりえる可能性は高くなると思います。

いろんなことが明確になるといいなと思い、
自分の行動範囲を広げたりしているわけですよ、今日この頃は。
それで昨日も霞ヶ関に行って政治家の人達などとも一緒に
エネシフジャパン成るエネルギーシフトを考える会に行ってきました。それもパネラーとして。
だけどこれが明確になるということにはかなり遠い感じで、
まぁ当たり前だけど、いろんな事情を背負って、
それが例えば票だとかお金だとか、
そこにいる人達と、いろんな若い感覚やとても整理された思想は
普通に並べたら異質な感じを主張するだけでした。
やはりもっと流れが必要だし、方向性が、そしてオーガナイズすることが必要だと思います。
これは、これから僕たちがこの国を
何をどう変えて行きたいかということ全てに言えることだと思っています。
でも、とにかく面白くするべきだと。
つまらなくても仕方が無いということは最低限にするべきで
本質的にはわくわくしたり、ドキドキしたり、
本当にそうだなと腑に落ちたりしないと駄目だと思います。
そうやってみんなが選ぶ、そのことを目指すよ。
つまり、いまなら原子力がいらない世界ということかな。


NEXT

小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。