小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

山下一穂さんという人

2010.10.22 14:33

確かに「エッヘン!」とおっしゃった彼は、
初老とも言える年回りを感じさせるところもある一方で、
いい意味で自由に好き勝手に生きている感じがしました。
彼のフルネームは、山下一穂さんと言います。

山下さんは高知生まれで、
20才前後あたりの詳細は解りませんが
28才まではバンドマンをやっておられました。
本人もおっしゃっていましたが、
いわゆる女性たちがいるクラブなどで
"ハコバン"と言われるようなバンドをやっていたらしく、
ちなみに担当楽器はドラムだったそうです。

その後、まぁきっかけがあったのでしょう、
高知に戻られて、学習塾のようなものをやっていたと思われますが、
おそらく帰郷されてから20年ぐらいして
お祖父さんが亡くなるかそのあたりで
遺言があったのかどうか定かではありませんが
とにかくお祖父さんが残した農地で、
農業をやることを思いついたそうです。
なにしろそれが、たった12年前のことなのです。
山下さんはそこから一気に農業の才能が開花したようで、
5年後には有機農業は簡単だと言うような、
有機農業に苦労している方から見れば
なんとも興味深い発言を連発しているような本
『超かんたん・無農薬有機農業』を出され、
更にその2年後には「土佐自然塾」という有機農業の学校を設立されました。

現在、その学校を設立して5年が経ち、彼の農園は12年経ったわけです。
僕らはカフェを出た後、彼の農園に行きました。
そして小松菜や人参、美味タスなど、数種類の野菜をそのまま採って食べました。
それは虫食いなどは全然なくて、だけど本当に完全に有機なんですよ。
そのまま土から採って食べる野菜は本当にお世辞じゃなく
澄んだ甘さや苦味を伴った野菜の味がして、
僕たち一行は彼の実力を思い知ったのでした。

次回は山下さんが語ってくれたことをもう少し書いてみましょう。


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高知で出会った彼たち

2010.10.20 22:43

明日と言いつつ、明後日になってしまいました。
日々過密スケジュールなこの頃であります。

さて、高知県の山奥にあるカフェのところまで
お話したと思いますが、このお店に入ると、
サザンブルースと言うか、
とにかくアメリカの南部で発祥した
ブルースの音がしているわけです。

壁には、その当時のレコードジャケットやポスターや、
おそらく南部で買ってきたであろうオブジェなどが
所狭しと並んでおり、晴れた日なのに店内は薄暗く、
四国の山の奥なのに、何故ここが時空を超えた
1940年代ぐらいの南部アメリカなのかと思うような、
不思議な繋がり方をしていました。

そこで昼ご飯として食べたカレーがこれも南部風なのかなぁ?
キーマカレーでも、日本の家庭カレーでも、
インドカレーでもない、南部風なんです
(いずれ作り方のベースぐらいは聞いておきます)。

そして、そこで少し遅れてやってきたのが、
僕よりは確実に年上であろうと思われる
旦那さんと奥さんの二人連れ。
この方が、"有機農業の達人"と言ってもいいと思うけど、
山下さんという方です。

彼は僕のことなど全く知らず、
僕らの道先案内人である吉村さん、、
あ、そういえば吉村さんの説明をしていなかったですね。
この方は高知パレスホテルの社長なのですが、
吉村さんが山下さんのことを、
「彼がこのあたりの農業を変えようとしている人です」
というような言葉で紹介したと思うのですが、
その後の山下さんの最初のご発声は、
「エッヘン・・・!!」でした。

「大丈夫でしょうか、この方は・・・」
という面持ちになった僕でした。

その先はまた次回。


kobayashi_1020_a.jpg
ここが文中にある山奥のカフェ



初めての高知県

2010.10.18 23:22

網の目のような時間を縫って、高知へ行ってきました。
本当はその前に徳島県鳴門市にレミオロメンのライブへ、
彼らの今年のツアー後半戦を観に行って、
夜は、徳島の美味しいご飯を一緒に食べたりしました。
徳島の食材はアベレージが本当に高いですね。
ちなみに、この間NHKスペシャルでもやっていたけれど、
海や山、日本の自然は世界的、奇跡的に素晴らしいらしいですよ。

そんなこんなの後に、高知入りしたわけです。
うちの会社の人達と一緒に車で四国の山を越えて
高知に入ったわけですが、実は高知って
日本のなかで行ったことのない県だったんです
(もうひとつは多分佐賀だと思います)。

高知って、四万十川をはじめとした自然の宝庫という感じがするし、
ダイビングのスポットとしても有名なところがあるし、
僕の印象では、すごく奥が深い、懐が深いという印象がありました。
その印象は、徳島から高知に入って
僕たちを向こうで案内してくれることになった
吉村さんという方と出会った山の中にあるカフェで
ものすごくビビッドな鮮やかなものへと変わり、
僕らは初っ端から、目のウロコが三枚くらい落ちました。
続きはまた明日。


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小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。