小林武史によるダイアリー。日々の出来事や、現在進行中のプロジェクトについて、今考えていることなどを綴ります。

kurkku 3の蕎麦粉

2009.11.07 02:15

昨日の夜、kurkku 3のメニュー試食会が
mother kurkkuでありました。
知らない人のために言っておきますと、
kurkku 3は表参道ヒルズの路面に11月19日にオープンする
kurkkuの新しいお店です。

この店で出るのは、なんと蕎麦。
蕎麦屋じゃないんだけどね。
ランチ中心にはなるんだけど、
とにかく蕎麦を出したかったのです。with野菜ベジタブルで。
つけ蕎麦みたいな感じのものもあってね。

何ヶ月も前からkurkku kitchenのシェフが、
フレンチや中華の技を織り交ぜながら
つけだれを開発してきました。
これが蕎麦の概念を変える美味しさでね。
日本蕎麦のつゆって、シンプルに甘辛いだけだと思いませんか?
僕らのつゆの旨味は、魚のグルタミン酸だけでなく
牛肉から摂るイノシン酸、つまり余韻が長い。
苦みや渋みや辛みやヒリ辛みなど、かなりの味覚の多面性を刺激するんです。
まぁこれは本当に楽しみにしていただきたいです。

で、僕が言いたいのは、肝心の麺のこと。
僕は蕎麦好きなので、ヘルシーということも考えて
これはやっぱり蕎麦粉100%なんだろうと思っていました。
いわゆる十割蕎麦です。
僕が好きな蕎麦屋は圧倒的にこれが多い。
さらっと少なめに盛ってあって、せいろ1枚1,000円とかするようなやつ。
ちょっと気取った蕎麦屋風に見えるやつですけどね。
食べると凛とした気持ちになって、「あーうまい!」みたいな。
僕はこの感じをkurkku 3に導入したかったのですよ。

ところが一方でkurkku 3で出す蕎麦は、
つけだれも含めて「がっつり」インパクトのあるものにしたかったのです。
若い人たちも食べて、やっぱりボリューム感もある新感覚の蕎麦。
そう思って昨日試食会に望んだところ、アッ!と気づくことがあったわけ。。

多めの量で盛りつけると、そこに蕎麦粉100%の死角があったのです。
5分、10分と時間が経過するたびに、どんどん固くなっていってしまうのです。
つなぎを使っていないからなんだよね。
サラッと盛り1,000円の蕎麦というのは、
やっぱりそれなりの理由があって、少量で気取って見えたりしてたんだね。
僕は数十秒考えました。

そして出した答えは......
この店は「がっつり」でいこう、と。

ある程度のボリューム感を、つけだれを使って
野菜と一緒に食べてもらおうと思ったわけです。
なので、当面よっぽどいいアイデアが生まれるまでは、
小麦粉二割程度入れる二八蕎麦を目指すことにしました。
そのぶんノドごしやつるつる感など、
あらたにできることを膨らましてみようと思っています。

皆さん、本当に一度この蕎麦を食べに来てください。
野菜もたっぷり摂れますよ。


kobayashi_1106_b.jpg
試食会の模様です


kobayashi_1106_a.jpg
熱弁中。味のチェックは厳しいですよ




BACK
NEXT

小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と自己資金を拠出の上、一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進のほか、「ap bank fes」の開催、東日本大震災の復興支援など、さまざな活動を行っている。