第1回 世界のモデルケースとしての「村」
- 小林
- 伊勢谷くんとは、これまでも微妙に一緒になっていたんだけれど、ゆっくり話すのは意外に今日が初めてなんだよね。伊勢谷くんがやっている「リバースプロジェクト」とは、何か一緒にできるんじゃないかなと思っているんだけれど、そもそもどんなきっかけで始めたものなの?
- 伊勢谷
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大学時代、僕はずっと映画が作りたかったんです。
でも大学を卒業した時点で、考えが変わって。漠然としているんですが、「村」というものを作れないかと思うようになって。「村」は人が住むためのものなので、衣食住を構成する、水やエネルギーという要素が、すべて循環できる形を作る事ができれば、ある一つのモデルケースになるんじゃないか、と。
僕の考える村という形が、最終的に人が最小単位で過ごすためのケーススタディとなってくれればという気持ちが、理想としてどこかにあります。理想の村を作ることを目標にして、「村という形態に至るまでの流れ、小さな社会のモデルケースを一緒に構築しなおしてみようよ」と考えたんです。
その手前の段階で、展開する場所ごとに、いろいろ特色が生まれてくるものだと思ってるんですけど。
といっても、「絶対こうじゃなくちゃいけない」という決まりきった形じゃなくて、「環境」という、新しいモラルが出てきたことを、社会の中でちゃんと実行して見せていくための形が、村というふうになるといいな、と思った。そのことがきっかけですね。 - 小林
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僕もエコビレッジのような発想を持ったし、パーマカルチャーに携わっている人は周りにけっこういるから、わからなくはないよ。
もうちょっと質問したいんだけれど、「村を作る」というのは、現代社会から脱出した場所として作っていくということなのか。もし脱出していこうとするならば、どんなふうにやったらいいのか? ということは聞きたいね。もちろん、そういうケースがあってもいいと思ったうえで。
- 伊勢谷
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僕ね、脱出はしたくないんですよ。
脱出ではなく、たとえば地球全体を一つの社会としてみて、村という最小単位があるとします。人間社会に必要な役割が、職業など得意分野で補い合っているという意味で、一番小さな村という形は、大きくしていけば「世界」になる。まあ、現実にはそう簡単なものじゃないかもしれませんが、村の中で生産もあって循環しているモデルケースとして機能できないかな、と。昔あったヒッピーやコミューンのようなイメージではなく、村の中のそれぞれの機能が、ちゃんと社会と渡り合える会社になっていけるようなもの。 - 小林
- 村の中の役割が会社になるんだ?
- 伊勢谷
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はい。衣食住、エネルギーのそれぞれの仕事が、経済的にも成り立っていけば、生活環境が整えられるだろう、と。それをきっかけにどういう社会環境にするのか、僕らがどうそれを辿っていくかということが、僕にとってのリバースプロジェクトの未来なんです。
実際にモデルケースが成立するんだったら、ほかの場所、たとえば、日本じゃなくても、チェルノブイリの原発事故の跡地に村ができるというのもアリだと思う。放射能の問題もある、ネガティブな場所にリバース的な村があることにも意味があるし。 そうやって世界中にチェーン展開ができたら、ある種の、人間が求めている社会の形ができてくるのではないかな、と。
これまでも、人間同士の愛情や「人に危害を加えてはいけない」という種類のモラルはありましたが、これからは"環境"をどう考えるのかを当たり前のこととして、モラルの中に入れなくてはいけないと思っていて。なぜなら人間が、もうひとつ成長しなくてはいけない段階に来ているからだと思うんですよ。
子供たちのことを考えても、今はあまりにも職業が細分化されていて、どの職業を選ぶかで迷うじゃないですか。でも本当は、「自分はどう生きたいか」のあとに、職業の選択があるべきまなのに、そこは学校では教えなかったり。そうした「どう生きるべきか」から結論を見つけ出すまでの過程に、いろいろと思うところがあるんです。


















