第8回 なじみの工具とお客さん。2010年3月17日(水)
おじいさんの代から続く、川窪万年筆店。
万年筆の需要が一番多かったときには、
3人の職人さんをかかえて月に1000本なんてこともあったそうです。
「ここ数年、万年筆のヴィンテージブームもあり
商品が売れ始めたり、ひっきりなしに修理の依頼も来ますけど、
僕のオヤジはこの仕事だけでは食っていくのは難しいって、
昔から僕にいい聞かせてました(笑)」
川窪さん自身、一時期はIT企業のエンジニアとして働いていましたが、
お父様の死をきっかけに、再び万年筆づくりにたずさわるように。
「オヤジが亡くなったとき、店を閉めることも考えてたんです。
でも、常連のお客さんに頼まれちゃって(笑)。
やめないでって強く説得されて、これほどまで愛されてたのかって驚きましたし、
嬉しかった。それで僕も折れちゃいました」

もちろん、川窪さんもこの仕事を絶やしてしまうのはもったいないと感じていたそうですが、続けるかどうかその背中を強く押したのは万年筆を愛するお客さんでした。
今では、日本に数えるほどしかいない万年筆職人。
メーカーから修理を断られて、川窪さんを頼ってくる方も多いんだとか。
修理の予約は3カ月先まで埋まっているそうです。
「壊れてもなんらかの方法で修理はできるんですよ。
僕自身も無理だろうって思ってた19世紀の万年筆も
構想に随分かかったけど、1年がかりでなんとか復元しましたしね(笑)」
取材中も、何件も修理依頼の電話がかかってくるたび、
「ずいぶん先まで修理依頼が埋まってるんだけどな〜。
スグっていわれても、どうしようかな〜(笑)」
なんていいながら、最後にはちゃんと引き受けている川窪さん。
忙しくても、頼まれると頑張ってしまうところにも、
取材後も私を最後まで見送ってくれる姿にも
人との付き合いを大事にする、江戸っ子・川窪さんの姿勢が感じられたのでした。

川窪万年筆店
東京都文京区千石2-31-7
AM10:00〜PM8:00
03-3941-0561
川窪さんの修理作業や近況情報の公開はtwitterでも確認できますよ。
詳しくは、こちらのホームページをチェック!
今回の万年筆修繕レポートはこれにておしまい。
次回どんな修理の現場にお邪魔するかは、お楽しみに。

































