小林 ここで全てを言うのは複雑なほどのバランスだと思います。そういうことが起こり得るというのが、バンドのマジックなんだけれど。そういうやり方を曽我部(恵一)君が、何年か前からやっているというのは聞いていたのだけれど、フラワーカンパニーズ以外で、ブッキングを自分たちでやるバンドというのは結構いる?
グレート 最近は多いですね、SCOOBIE DOとか。
鈴木 eastern youthもそうですし。僕らを含めてみんな似たような境遇で、30歳くらいで契約をきられてしまうんですよ。でも、もし辞めるとしてもこのタイミングでは絶対に辞めたくない。別にデビューしたいがためにバンドを始めたわけじゃないから、契約がきれたから辞めるというのは一番カッコ悪いパターンだなと思って。もちろん、そういう選択もあるとは思うんですけれど、自分には辞めるならこのタイミングだけは持ちこたえて巻き返してから辞めるんだ、という意地もあって。
小林 そうだよね。僕の周りでも辞めていったバンドはいっぱいいるけれど。でも、契約を切られても残って、それから10年もやっているバンドってそう多くはないでしょ?
グレート そうですね。ただ、前よりも増えている感じはあります。
鈴木 ここ10年くらいで、アメリカのインディーバンドがそこまで売れていなくても、メジャー流通ではなくてライブハウスを回りながら食えているという話があって。それは、20年前の日本だったらあり得なかったと思うんですね。でも、ここ12~3年で日本も変わってきたのかなと思います。ライブだけで食うに困らないだけ稼いでいるバンドが、若い子でも増えていますね。
小林 ちなみに県庁所在地だけではなくて、もう少し小さな街のライブハウスも回るの?
グレート ありますね。「あの街はすごく小さいけれど、意外に人が来るよ」とか「店長が熱くて、お客さん呼んでくれるよ」というような噂を友達から聞くんですね。それで実際に行ってみると、「確かにここはお客さんのノリがすごい!」というようなことがあって。そこからまた新たな付き合いができるんです。
鈴木 それこそ、お客さんの数が30人くらいのときもあります。でも、ベタですけどお客さんの目の輝きをみると、やっぱりこっちは燃えちゃうというか。人数は関係なくなってしまうんですよね。